『流星号の純情』

【第47回フリーワンライ】
お題『せんじょう(変換可)』『逃亡』『流れ星は何処に行くの?』

タイトル『流星号の純情』

一台のトラックが、田舎道をひた走る。
「おかあさん、あのトラック、流星号って書いてあるよ」
子供が指をさすトラックの荷台には、『流星号 流れ流れて 何処へ行く』と書かれている。
そのトラックには、リーゼントをびしっと決めた男がハンドルを握り、助手席にはタオルを頭に巻いてリュックサックを抱えた男が乗っていた。
リーゼントの男、ユウジは、幼馴染のテツをつれて、ある場所に向かっていた。
「もう、逃げんなよ」
ユウジは低い声で話しかけるが、テツからは何の言葉もなかった。
昨日、とある港町で、偶然行方不明だったテツを見かけたユウジは、そのままテツの首根っこをつかんで、故郷の町へ帰ってきたのだ。
「終わったことは、変えられねえんだ」
ユウジの言葉に、テツは自分の唯一の持ち物であるリュックサックを握り締めた。
5年間、テツは故郷から逃げていた。
ユウジは必死にテツを探し続けた。全国津々浦々を走る、長距離トラックの運転手として、さまざまな場所を探し続けて、ようやく昨日、船上から降りてくるテツを見つけて、そのままつれてきた。
「なあ、テツ」
「…わかってる」
テツは、小さくつぶやいた。
やがて、ある廃工場の前にトラックは止まった。
テツの実家があった場所だ。
テツは家業を継ぐつもりだったが、資金繰りが悪化して、父親が工場を閉じた。
夢も、目標もなくなったテツは、そのまま実家を飛び出した。
「あのときのままなんだな」
トラックから降りたテツはつぶやいた。
ユウジもトラックから降りたところで、別の人影に気がついた。
「トモコ…」
走ってきたのだろう、トモコは肩で息をしていた。
「ユウちゃんのトラックだって気がついたから…テッちゃんは、見つかった…?」
ユウジは無言でテツを親指で指し示す。
「テッちゃん!」
「と、トモコ…」
大粒の涙をこぼしながら、トモコはテツに駆け寄っていく。
「もう置いて行っちゃ嫌だからね!ずっとあたしと一緒にいて!」
すがりついたトモコを、ぎこちなくテツは抱きしめて、
「ただいま」
とつぶやいた。
それを見届けたユウジは、トラックへ乗り込んで、自宅方向へと走らせた。
途中、小さな子供が手を振っているのに気づいて止めると、娘のセリナだった。
「おかえりなさい、おとうさん!」
「ただいま、セリナ」
トラックに乗りたがったセリナを乗せて、ゆっくりとユウジは発進した。
「おとうさん、きょうは、なにをはこんできたの?」
「初恋のひとに、大事な届け物だよ」

『流星号の純情』 終
2015.05.03 にゃっかむ

『奥さんが眠るまで。』

【第45回フリーワンライ】
お題『○○が眠るまで(○○は変更可)』『仕事中につき』

タイトル『奥さんが眠るまで。』

最近奥さんは、旦那様と帰宅時間が合わないことがあります。
旦那様は仕事中につき、奥さんは夜を一人で過ごさなくてはいけません。
「ただいまですよ」
と帰宅しても、応えてくれる声もなく、ひとつため息をついて、今朝干した洗濯物を取り込みます。
取り込んだ洗濯物を畳んで仕舞った後は、布団を二つ並べて敷いて、カーテンをそっと閉じます。
お月様の出ている夜は、カーテンを明けておくこともありますが、たいていは眠る前までには閉じるのです。
その後は、ごしごしとお風呂を洗い、お湯をためます。
お湯がたまるまでの間に、今朝炊いておいて取っておいたご飯と、お魚の缶詰と、インスタントのお味噌汁で、簡単に晩御飯を済ませ、お弁当箱と一緒に食器は洗って片付けます。
一人で食べるご飯は、二人で食べるご飯よりも、気合も入らず、簡素なものです。
簡単な晩御飯と後片付けを済ませる頃には、お風呂は張れているので、ささっと支度をしてお風呂に入ります。
顔を洗って、髪を洗って、体を洗って、湯船につかると、ふわぁとあくびをするのが、奥さんの癖です。
お湯は少し熱めが好きですが、あまり熱いと後でのぼせてしまうので、ほどほどに入ったらあがるようにしています。
髪を乾かして、化粧水と保湿クリームを塗りこみ終わったら、後はしばらく自由時間です。
録画しておいた番組を見ることもありますが、たいていは、本を読んだり、通販カタログを見ています。
インテリアのページを見ていると、なんだか心が落ち着きます。
その頃になると、旦那様から「今から帰るよ」という連絡が来ます。
奥さんは、旦那様のことを、一家を支えるために頑張って遅くまで仕事をしている偉い人だと思っているので、「お疲れ様です」と必ず返します。
それから、ご飯の残りを確認したり、たまにはお魚を食べていただきたいなと思いながらおかずの思案をしたりします。
麦茶の残量も確認します。旦那様も奥さんも、毎日仕事に麦茶を持っていくのですが、ご飯のときに奥さんがごくごく飲むので、すぐに減ってしまうのです。
旦那様はおなかを冷やしやすいので、温かい飲み物のほうがお好みのようです。
晴れている日は旦那様は歩いて帰ってきますが、雨の日や風が強い日は奥さんが迎えに行きます。
奥さんが「おかえりなさい」と言うと、「ただいま」といってくれる旦那様が、奥さんはとても好きだなあと思うことがあります。
旦那様が帰ってくる頃には、奥さんは割と体力の限界だったりします。
「先に眠っていてもいいんですよ」
と旦那様は言いますが、奥さんは、自分が帰ってきたときのようなしょんぼりした気持ちを、旦那様に味わってほしくないので、余程火を使っていたりしない限りは、ちゃんと顔を見て「おかえりなさい」と言ってあげたいと思っているのです。
旦那様が帰ってきたら、翌朝が早い奥さんは歯磨きをして、眠る準備をします。
居間の神様とお台所の神様には、毎日感謝を申し述べてから眠るようにしています。
「今日も一日ありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
何か祝詞を覚えていれば唱えるのですが、奥さんは神様に感謝が伝わればいいかな、と思っています。
旦那様はお布団までお見送りをしてくれて、奥さんがお布団にきちんと入ったことを確認したら、お風呂に入ります。
奥さんは翌日の目覚ましをセットして、明日も良い日でありますようにと願いながら、ゆっくりと眠りにつきます。
お日様が明るくなれば、奥さんはまた動き出すのが日常なのです。

おやすみなさい。
明日も良い日でありますように。

『奥さんが眠るまで。』 終
2015.04.19 にゃっかむ

『冬の雨。午後。』

【第38回フリーワンライ】
お題『叶わぬ恋なら』『ぱらぱら』『もう以前の私じゃない』『古傷が痛む』

タイトル『冬の雨。午後。』

ぱらぱらと、小雨が降っている。
傘も差さずに、一人濡れている。
冷たい冬の雨。午後。
人通りもまばらな交差点で、青信号で立ち尽くしている。
動かない自分を見ない振りをしながら、他人が通り過ぎていく。
赤い薔薇の花束を持つ手が冷え切っている。
妙に熱いのは涙の流れ出す瞼だけ。

しないほうが良い恋だってあるのだと思い知った。
叶わない恋なら、それがわかっていたなら、絶対にしなかった。

青信号が点滅を始める。
渡りきろうとする人が走ってくる。
ふわっと、赤信号が点った。
次に信号が青くなったら渡ろうと決意して、もう何度目だろう。
次の青信号も渡れるのかどうか、不安になってくる。

冷たい冬の雨。午後。
今ではもう遠い昔のことなのに、ちくちくと胸が痛む。
もう以前の私ではない、新しい恋だってしたのに、それなのに。
叶わない恋の思い出が、薔薇の棘のように私を苛む。

『冬の雨。午後。』 終
2015.02.20 にゃっかむ

『一番最初の桜の記憶』

【第36回フリーワンライ】
お題『曇り空』『一番最初の記憶』

タイトル『一番最初の桜の記憶』

一番最初の記憶は、曇り空の下、祖母に抱かれてみた桜だ。
2歳か、3歳か。とにかく、まだ幼稚園には通っていなかったと思う。
家から少し歩いたところにある、枝垂桜がきれいなことで近所では知られている公園だったと思う。
薄暗く、くすんだ色だった桜が、雲が流れて陽がさしたとたん、世界がいっぺんに変わったかのように輝きだして、子供ながらに驚いたことを覚えている。
風に枝がそよいで揺れて、祖母にしがみつきながらその光景に目を奪われた。
その後、大声で泣いた。
今なら、感動を表現する手段はいろいろあるが、そのときは、この感情を表現する方法がほかになかったのだ。

祖母があの桜を見たいというので、一緒に連れ立って見に行った。
今年も、見事な枝垂桜が、淡い花をつけ、枝ごと風にそよいでいる。
公園には、すでに何組か花見客もいたが、皆この近所の住人なので、桜を眺めながら、持ち寄った弁当などをのんびり食べている。
幼かった私も、今では結婚し子供もできた。祖母はひ孫を抱いて、懐かしく思ったのだろう。
「純子ちゃんが、今のみそのちゃんくらいの頃に、純子ちゃんとママと一緒に、こうやって桜を見に来たことがあったねえ」
「ああ、覚えてるよ。桜見てあたしが泣いたときだよね」
「そうそう、『桜のひとがきれいで怖い』って」
「え、『桜のひと』なんて、あたし言った?」
それは、私の記憶にない言葉だった。私は、あの時、ただ泣いていただけだと思っていたのだけれど。
「純子ちゃんに、『桜のひとって誰?』って聞いたけど、『きれいな桜の人が、木の下で泣いてる、怖い』って純子ちゃんが泣いているの。桜の周りにはほら、あんなふうに柵がしてあって、誰も入れないはずなのに」
枝垂桜の周りには、過度に踏みつけられて桜に悪影響が出ないように柵で囲んであり、入ろうと思えば入れなくもない高さではあるが、進んで入ろうとは思わない。
そのとき、少し強い風が吹いて、枝垂桜の枝を揺らした。
「あー…あああー!ふあああああああ!」
それまでおとなしかったみそのが、急に大声で泣き始めた。
「みその、どうしたの?」
「ああ、ああ、みそのちゃん、どうしたのー?」
「さくらのひとが、きれいでこわいよおおおおおおお」
「えっ」
祖母と私は顔を見合わせた。みそのは火がついたように泣いている。
「みそのちゃん、『桜のひと』って誰なの?」
祖母が尋ねるが、みそのは泣くばかりで答えない。
「みその、桜の近く、誰もいないよ」
「さくらのっ、したっ、きの、したっ!ないて、きれいでっ、ふううっ、こ、こわいのおおおお」
祖母の胸に顔をうずめて泣くみその。
「みそのちゃん、おおきいおばあちゃんね、そのひと知ってるよ」
みそのの背中を撫でながら、祖母は声をかける。
「みそのちゃんのママもね、その人を怖いって泣いたことがあるんだよ。みそのちゃんのちいさいおばあちゃんもそうだよ」
母も、同じことを言って泣いたなんて、初めて聞いた。
「その人は、怖い人じゃないよ。大丈夫。おおきいおばあちゃんのかわいい子たち、大きく育ってよかったね、って泣いて喜んでるんだよ」
「こわく、ない?」
「怖くないよ」
「こわくない」
みそのは、こくんとひとつ頷くと、桜に手を振った。
枝垂桜も、手を振るようにゆれていた。

みそのの一番最初の記憶も、桜の記憶になるのだろうか。
「どうだろうねえ」
泣きつかれて眠ってしまったみそのを撫でながら祖母は微笑む。
「まあ、不思議なことが、世の中にはあるからねぇ」
桜の人の記憶は、私にはない。

『一番最初の桜の記憶』 終
2015.2.06 にゃっかむ

『戻れたらいいのに』

【第25回フリーワンライ】
お題 『かわる』『告白当日』

タイトル『戻れたらいいのに』

何度も、何度も、何度も。
あの日のことを思い出しては、縮こまってしまいたくなる。

だから私は私を変えた。
長かった黒い髪はバッサリと切って金髪に染めた。
大人しい感じの服装はやめて、とにかく露出は大胆に派手に。
今まではほぼノーメイクだったけれど、今では素顔の何倍も目を大きく見せることだってできる。
今までの友人たちとは意識的に連絡を疎遠にして、軽く薄い付き合いの人間が増えた。
忘れたいと思っていた。
自分を知る人から自分の記憶を消したかったし、自分の中からもあの記憶は消したかった。

「ねねだよね?すごく大人になっちゃってるけど、ねねだよね?」
遠くに引っ越したはずの、小学校時代の友人、ももと、偶然再会してしまった。
「もも、いつ、戻ったの」
「んー、1カ月くらいになるかな。久しぶり、ねね」
ももは、あたしが変わったきっかけを知らない、でも、昔のあたしは知っている存在ということになる。
小学校のころから手足が長く、大人びた容姿をしていたもも。髪は短く、服装の趣味も大人っぽかった。実を言えば私は、このももの容姿に近づけるように自分の外見イメージを変えていったのだ。
ももはさばさばとして、クラスでも人気があった。私とももは、さほど仲が良かったわけではないけれど、同じクラスだったから話もしていた。それに、まだ、小学校の頃の私は、「あの日」が来ることなど想像もしていなかったから。
小学校卒業とともにももは遠くへ引っ越した。
だから、ももはその後の私を知らない。
「ねね、時間あったらお茶でも」
「ご、ごめん、このあとちょっと用事あって」
「あ、そっか…。ねね、もしよかったらアドレス教えてよ。今度遊ぼう。こっちに帰ってきて、一番最初に見かけた知り合い、ねねなの」
ももは笑顔で携帯を振った。交友関係は広く浅くを心掛けることにしているから、連絡先を教えて別れた。

好きな人に告白したら振られたんだよ。
男はそいつ一人じゃないのに、なんだか思いつめちゃって、自殺未遂しちゃったんだよ。
目が覚めたときは病院で、お母さんが大粒の涙こぼしてた。
そのあと、学校に通えるようになったら、みんなの態度がよそよそしくなった。
ただ、思い余っての殺未遂だったのに、変な噂が尾ひれを付けて、妊娠を苦にして自殺未遂したって思われてると知ったときは、こいつら馬鹿かとおもったよ。
それ以上に私が馬鹿だった。
私が馬鹿だったんだよ。

外見を変えるくらいでどうこうできるとは思ってなかったけど、違う自分になりたかった。
ももは私の過去の一部を知らない。
ももの記憶の中にある私がいる時代まで、時が戻ったらいいのに。

2014年11月15日 にゃっかむ

『チョコレートコスモス』

【第24回フリーワンライ】
通常お題 『コスモス』

『チョコレートコスモス』
写真部だった後輩と、今でも時々、撮影小旅行と称しては、日帰りで行ける撮影スポットに足を運ぶ。
おもに題材は花が多い。桜だったり、菜の花だったり、菖蒲だったり、牡丹だったり、菊だったり。
今回はコスモス。まあ、秋なのでべたなところではある。
本当は、紅葉の時期に京都に行ってみたりしたいが、日程的にも金銭的にもなかなか難しい。
コスモス畑もきれいだから良いのだ。白や赤やピンク色の花びらがそよそよと揺れている。
「こうやって一面にコスモス畑になってるのもきれいですけど、道端にずーっと植えられてるのもいいですよね」
「コスモス街道、ってやつ?」
「すごーくのどかな、電車も一日に何本かしか通らないらしい単線の線路わきの道路にずーっとコスモスが咲いてる写真を見たことがあって、それ、ずっと自分で実際に撮影したいなって思っているんですけど、肝心の場所がどこだかわからなくて」
話しながらも手は動く。お昼から夕方になろうとする、本当に間際の時間帯で、咲いているコスモスは一番美しく見える。
『乙女の純真』とか『乙女の真心』と、コスモスの花言葉は美しく清らかだ。色によって花言葉が少しずつ違うが、純潔とか処女性を連想させる言葉が多い。
「せんぱーい、なんか、ほのかに甘い匂いのコスモスがあるんですー」
「それ、黒っぽいやつー?」
「そうですー。黒っぽい赤っていうか、んー」
「その花、たぶんチョコレートコスモスよ。ちょっとチョコレートに似た匂いするでしょ」
「んー?あ、言われてみればそうかも」
花の香りをかいでいる後輩の近くに行ってみると、それはやはりチョコレートコスモスだった。
「先輩、なんでこの花知ってるんです?」
「大学の写真部の2つ上の先輩が、卒業するときにこの花の写真くれたから」
その人は、私に赤いコスモスを咲かせた人。
白いコスモスだった私を散らした人。
「チョコレートコスモスはね、『恋の終わり』が花言葉なの」
「えっ」
「つまりはね、そういうことよ」
「そうだったんですね…」
こんなに甘くて、いい香りがする、きれいな花なのに。
後輩はカメラでひとしきりチョコレートコスモスを撮影した後、スマホを取り出してまた撮影しているようだったが、突然声を上げた。
「あれ、先輩。まだありますよ、チョコレートコスモスの花言葉」
「え?」
「『恋の思い出』…あ、あと、『移り変わらぬ気持ち』だそうです」
あの写真を渡されたとき、チョコレートコスモスの花言葉を探したときは、その本には『恋の終わり』としか書いていなかった。
「楽しかったよ、ってお相手の方も思っておられたのかもしれないですよ。別れたつもりだって、なかったのかも」
単に花言葉とか関係なく、きれいな花だったから写真渡したのかもしれませんし、と後輩は笑う。
「…確かめるのは、まだ間に合うかしら」
「んー、取り合えず、風が冷たくなる前に、もう少し写真撮りません?」
「…そうね」
夕方の色が少し濃くなってきた。

2014年10月31日 にゃっかむ

『夢の温泉露天風呂』 #深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【第23回フリーワンライ】
通常お題 『「また会えたね」』

タイトル:『夢の温泉露天風呂』
誰にでも、一つくらいは、なんとなく毎回見てしまう夢というものがあるんじゃないかと思う。
私のよく見る夢は、とても整った顔立ちの知らない美女と、他愛もない話をしながら絶景露天風呂に入るというもの。
ここは空の上にあるんじゃないかと思うような上空の星空と、まるで足元にも星空が広がっているんじゃないかと思うような美しい夜景。それらを私と美女の二人で独占しながら、心行くまで温泉を堪能し、語り合う。
不思議と、長く入っていてものぼせることはない。夜風が火照った体をゆっくりと撫で、ゆったりとできるちょうどよい加減なのだ。
この夢を見るときは、実は大抵悩んでいたり煮詰まっていたりする。仕事の企画のことだったり、恋人とのことだったり、その時によって違うが、この夢を見ることで、なんとなく悩みが解消したり、いい方法を考えついたりするから不思議だ。
美女は、私の話に時々相槌を打ってくれる。良く相談されることがある人なのかもしれないが、これは夢で、この美女だって、私が作り出した幻のような存在だ。
ストレス解消法はなんですか?と質問されることがあっても、「夢に出てくる美女と露天風呂でおしゃべりすることです」とは言えない。言えないが、たまにこの夢を見るおかげで、私は日々を頑張っていられるんだと思う。

そんなわけで、今回も露天風呂の夢なのだけれど、今回はなぜか美女がいない。
いつもなら、先に露天風呂に入っていて、「久しぶり!元気だった?」と声をかけてくれるのだけれど。
珍しい、同じ夢なのに、こんなこともあるものなのかと、一人で露天風呂に浸かったけれど、岩の間からお湯が流れ出てくる音と、たまに私がお湯の中で動くと水面が揺れるくらいで、あまり面白味のあるものではない。
「露天風呂があるなら、内湯も、脱衣所もあるわよね…?」
今までは美女とおしゃべりするだけだったけれど、この温泉にはほかにもお風呂があるのか探検したことがなかったことに気づいて、この夢を見るようになってから初めて、露天風呂の出入り口の扉を開いた。
扉は2枚あって、露天風呂に通じる扉と、内湯に通じる扉がある。内湯に通じる扉を開くと、むわ、とした熱気に包まれた。
「ここ、熱の湯…なの…?」
ほのかな温泉特有の香りと、地方の温泉のお土産屋さんで嗅いだ事のあるヒバ材の香りが、蒸気と一緒に私を包む。
人影がいくつかあるようだけど、蒸気がすごくてよく見えない。
明かりもついてはいるようだけれど、蒸気の量がものすごくてほぼ前が見えない。まだ露天風呂の方が視界が良かったくらいだ。
手探りで内湯の縁に手を付けたら、じわあと熱が伝わってきて、思わず身震いしてしまった。
「長く入るには向かないかな…」
そうつぶやいたとき、縁に置いた手を誰かに掴まれた。
「おわあっ」
「お、驚かせてごめんなさい!」
その声は、いつも露天風呂で一緒になる美女の声だった。
「あっ、今日は内湯の方にいたんですね。待ってても露天風呂にいないから…」
「露天風呂には行けないんです。ここから出ない限りは」
お願いがあるんです、と美女は言った。
「最近お引越しされた荷物、早めに整理して出してください」
「え、なんで引っ越したこと知ってるんですか」
「ここはあなたの夢で、私もあなたの関係者ですから」
なぜかそこで今回は目が覚めてしまった。夜中3時。
新居はまだ、解いていない段ボールだらけだった。

次の休日、気合を入れて段ボールを解いたとき、ある箱から小さい絵が出てきた。
お風呂に浸かってこちらに微笑む天女。絵が好きだった祖母の形見だ。
その天女の顔が、なんとなく見知ったあの美女に似ているのは気のせいだろうか。
リビングの壁にちょっと飾っておくことにした。
今夜は一緒の箱に入っていた、以前お土産屋さんで購入していたヒバエキスの入浴剤を入れて入浴した。
その夜、またあの露天風呂の夢を見た。
今度は美女が先に露天風呂で待っていてくれた。
「ようやく、また会えましたね」

2014年10月31日 にゃっかむ

素敵な贈り物。

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6/23に、彼氏さんから素敵な贈り物をいただきました。

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『結婚して下さい』
といわれました。

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はい、とお答えしました。

夜景のきれいな場所まで、非力なあたしのモコたんをひいひい言いながら運転しましたが、頂いた時はうれしくて、ふわふわと涙も出てしまったです。
彼氏さんは、どんなふうに思ってたのかなぁ(チラッ
ずっと一緒に、助け合って、笑い合って過ごしていけるといいなぁと思うのです。
「こ、婚約者って言ってもいいんだよね!?」
と、後日言っていた彼氏さんが、本当に愛しくて可愛くて大好きです。

ツイートテストという名のちょっとした雑記など。

Twitterに自動でブログ更新がお知らせできるように設定しているプラグインが、どうやらうまく働いていなかったらしく、テストを兼ねて投稿するなど。

最近めっきり涼しくなってきましたねぇ。
先日関東にいたときは、日中は暑いくらいだったのですが、こちらに戻ってきて初出勤の今日は、長袖で出勤いたしましたよ。
暑いよりは寒い方がまだ我慢できるほうなので(決して寒いのが好きというわけではないのです)、関東に引越ししたりした暁には、夏場溶けるんじゃなかろうかと余計な心配をしているのです。
過ごしやすい気温で、彼氏さんとくっついていたいなー、などと思うのです。

やっぱりね、人肌のぬくもりが恋しいですよ、秋は。
あと、美味しいご飯があればいうことなしです(笑)

晩夏の関東、手つなぎデート(2日目)。

彼氏さんが寝ぼけながらほっぺたを撫でてくれたり、身体を触ってくれたりして、ふにゃっと目覚めて愛しく思いました。
毎日割と早起きなので、寝坊助さんの彼氏さんの寝顔観察。
まつげが長くて可愛いのです。いびきは少しうるさいけれど(笑)

起床した彼氏さんと、うふうふ、といちゃいちゃして、朝ご飯のピザを食して、二人でパソコンの動画サイト見たりしてたのですが、いちゃいちゃが濃厚だったので、少し眠くなってしまいまして。
あたしは15分から20分くらいうとうとしたら目覚めたのですが、彼氏さんがなかなか起きない、というか、本気で寝てしまったので、寝顔写真や寝相写真をこっそり撮影したのでした。
それでも起きないので、ブログ更新したりしまして。
ブログ更新し終わった頃に、「うわーん!」と言いながら起きたと思ったら、うつ伏せに寝ころんでいるあたしの背中に顔をうずめて、「ごめんね、ごめんね」と言いながらすりすりしていたです。
昨日も高速道路乗ったりの長距離運転だったし、疲れてるんだろうなぁと思ったら起こせなかったですよ…。

完全覚醒した彼氏さんとお昼を食べに、人生初めてのロイヤルホストへ。
あたしの普段の生活行動範囲にロイヤルホストは存在しないのですよ…。
イタリアフェアのパスタと、パンとオニオングラタンスープのセット、それからドリンクバーを注文。

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大変美味しかったのです。

そうそう、このあとミスドに寄って、ドーナツも買いました。
あとは、職場へのお土産を買うのに寄ったイオンのなか卯で、唐揚げも買いましたよ。
…我々は食べ過ぎかもしれません(笑)

楽しい時間はあっという間で。
彼氏さんに、新幹線の駅まで送ってもらいました。
ぎゅうしたり、ちゅうしたり、なでなでしたり、離れがたくて、愛しくて、ずっとこのままいられたらいいのにな、と思うのです。
「忘れ物ない?」と聞かれて、「彼氏さん」と答えるくらい、離れがたかったのです。
それでも、笑顔で行ってきますしました。
次はいつ逢えるのかなぁ…。